ネットビジネス指南書 Ver 01 <2018.01.01>

個人事業主としての事業所得

個人事業主の長所と短所
個人事業主としての事業所得
上の記事で、個人事業主となり青色申告することで得た所得に対する節税対策ができることについて解説しました。

それでは、青色申告できる所得にはどのようなものがあるのでしょうか?

青色申告できる所得

所得税法では、その性格によって所得を次の10種類に区分しています。

所得の種類
① 利子所得~預貯金や公社債利子
② 配当所得~株の配当金など
③ 不動産所得~賃貸等による儲け
④ 事業所得~事業による儲け
⑤ 給与所得~会社員の給与賞与等
⑥ 退職所得~会社員の退職金など
⑦ 山林所得~材木の譲渡等の儲け
⑧ 譲渡所得~売買による儲け
⑨ 一時所得~懸賞や一時金等利益
⑩ 雑 所得~上記以外の所得

このうち、青色申告できるのは<③不動産所得④事業所得⑦山林所得>の3つだけです。

当ブログでは不動産所得と山林所得については割愛します。

事業所得とはその字が表すとおり、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などを営んでいる人の、その事業から生まれる所得のことを指します。

多くの個人事業主の所得に当てはまるのが、この事業所得です。

個人事業主というからには、何を主たる事業=『事業所得』として設定するかですが、展開するネットビジネスとして、私はアフィリエイト・仮想通貨・外国為替証拠金取引(以降、FX)を候補としました。

専業で行うFXは事業所得?

私は既に退職しているので、FXや仮想通貨は専業で行うことができます。

これは事業所得になるのでしょうか?

FXや仮想通貨はどちらも、国内と海外のFX会社・取引所がありますが、ここでは国内FXに限って考察します。

その前に、所得税の課税方法について少し学んでおきましょう。

総合課税と分離課税

所得税の課税方法には、総合課税と分離課税があります。

総合課税とは、対象となる所得を合計して所得税の金額を算出する課税方法のことをいいます。

最初に述べた10種類の所得のうち、(一部例外はありますが)⑥退職所得と⑦山林所得以外が総合課税にあたります。

分離課税は、他の所得と合算をせず、分離して税金を計算する方法です。

分離課税には、申告分離課税と源泉分離課税があります。

どちらも、総合課税の対象となる所得と切り離して税金を考える点では同じです。

国内FXは申告分離課税の雑所得が原則

さて、国内FXが当てはまる所得分類は⑩雑所得です。

課税方法は前述に当てはめると総合課税か?というとそうではなく、以下の例のように、雑所得で総合課税に当てはまらないものとして分類されます。

申告分離課税の対象になる雑所得の例
  • 先物取引やFXの利益
    (「先物取引」とは、価値の変動リスクがある商品などの将来の売買について、 あらかじめ現時点で価格を決めておいて売買の約束をしておく取引のこと。 「FX」とは、外国通貨の売買による差益を目的とした金融商品のこと)
  • 株式などの譲渡に関わる所得
    (上述の通り、「株式などの譲渡に関わる所得」は、取引の実質にもとづいて、譲渡所得・事業所得・雑所得の3つに区分される)
MEMO
国内FXには、「くりっく365」や「大証FX」といった取引所FXと、FX会社を利用して行う店頭FXの2種類があります。

2012年1月1日以前までは、取引所FXが申告分離課税、店頭FXが総合課税でしたが、2012年1月1日以降は店頭FXも申告分離課税に変わりました。

なお、両者とも税率は20%です。

分離課税の場合、「所得税15%+住民税5%の合計20%の税率」で計算しなければなりません。

一方で、事業所得として申告する事ができれば総合課税の対象となるので、所得税は5%〜45%の超過累進課税、住民税は一律10%の課税となります(平成25年〜平成49年までは、別途復興特別所得税として2.1%課税されますが、ここでは割愛します)。

つまり、事業所得として税率20%以下で課税される場合、雑所得として合計税率20%で課税されるよりも納税額が少なくて済む可能性があります。

また、雑所得よりも事業所得として申告した方が必要経費として認められる範囲が広がります。

他にも、事業所得として青色申告をすれば、損失が出た際に他の所得と損益通算する事ができる、青色申告特別控除が受けられるなど色々なメリットがあるので、国内FXでの所得が事業所得か雑所得かを考える意義があります。

国内FXは事業所得に該当する?

ところが、事業所得とは何かについては、所得税法も、これを受けた所得税法施行令も例示列挙しているだけで、明確に定義づけを行っていません。

よって、事業に該当するかどうかの判断基準は、社会通念上「事業として認められるかどうか」ということになります。

いろいろ調べてみると、FXの利益について事業所得か雑所得かを争った裁判事例があり、そのほとんどで事業所得としては認められていませんでした。

国内FXを事業と捉え、青色申告の優遇措置を利用したものの、確定申告の段階で税務署に否定され、追徴税をくらうのではたまりません。

それでは事前に税務署にお伺いを立てればいいのでは?とも思いますが、今では私自身も国内FXは事業扱いにするのは難しいだろうと判断しています。

最終的には、以下の点も考慮して、国内FXを事業と捉えるのはやめました。

  • 仮に国内FXの利益が順調だった場合、事業所得だと(累進課税なので)利益が出れば出るほど税率=納税額が上がるので、分離課税の雑所得とした方が得な場合(約1200万円がボーダーライン)も考えられる。
  • 青色申告の65万円控除では複式簿記での記帳が原則であるため、取引件数が多いと記帳が煩雑になる。

アフィリエイト以外は雑所得

仮想通貨は総合課税の雑所得

2017年9月に、国税庁によるタックスアンサーにおいて、仮想通貨であるビットコインを使用することにより生じる損益については原則(総合課税の)雑所得に区分されることが公表されました。

仮想通貨もFXと似た面を有しているため、これも事業と捉えることは難しいでしょう。

消去法で残ったのはアフィリエイト

消去法になりましたが、最終的にはアフィリエイトを事業として設定することにしました。

まとめ

今までのことをまとめると、下表のような内容で事業展開をしていくこととしました。

所得区分 事業所得 雑所得
収入項目 アフィリエイト 外国為替証拠金取引 仮想通貨
国内FX 海外FX
課税方法 総合課税 申告分離課税 総合課税 総合課税