がんの痛みを消してくれる最高の鎮痛薬モルヒネを体験した話

先日、私ががんであったことを記事にさせていただきましたが、その治療過程で、痛みを和らげるためにモルヒネを投与されていました。その時の体験談を書きたいと思います。

22歳の時に、大腸がんと肝臓がんを発症しました。手術により切除された患部(大腸部分)は、がん細胞により握りこぶし大まで腫れ上がっていました。

手術前の2週間くらいは痛みがあまりに激しすぎて、記憶がかなり曖昧です。なんといってもつらいのは、痛すぎて眠れないことです。

最初の頃は錠剤タイプの痛み止めを飲んでいましたが、全く効果なし。痛みで食欲も落ち、どんどん痩せていく私を見た担当医がこのままでは手術が困難になると思ったのでしょう。

ある夜、痛みでナースコールを押して来てくれた看護婦さんは、アイキャッチ画像のような小瓶と注射器をアルミのトレイに入れて持ってきました。

モルヒネとは?

みなさんも一度は聞いたことがあると思います。

モルヒネは「医療用麻薬」に分類されていて、少々の痛み程度では処方されるものではありません。モルヒネは人類が自然界から与えられた最高の鎮痛剤と言われています。

ある意味、私の命を救ってくれたモルヒネについて少し調べてみました。

モルヒネが痛みを取り除く仕組み

すごく簡単に説明すると、モルヒネが痛みの伝達経路を先回りして、痛みの受容体に伝わるのをブロックするため、痛くなくなるのだそうです。

詳しい説明は、以下を参考にしました。

痛みがどのようにして脳へ伝わるかを説明します。指先の傷を例にすると、傷ついた指先の細胞から、痛みを起す物質(発痛物質)が放出されます。人の神経は脳・脊髄からなる「中枢神経」と、それ以外の多数の神経繊維からなる「末梢神経」から構成されています。この発痛物質は、末梢神経を刺激して痛みの信号を発生させ、おびただしい数の神経細胞が連なって構築されている神経経路を伝わっていきます。この痛みの信号は、神経細胞のあいだでは「神経伝達物質」と呼ばれる化学物質によって伝わります。この神経伝達物質を受け取るのが神経細胞の表面に突出する「受容体(レセプター)」です。

神経伝達物質を受容体によって受け取った神経細胞は、受容体を介してシグナルを出し、神経細胞内へ痛みの電気信号を送ります。この信号によって、神経細胞は新たな神経伝達物質を放出させ、次の神経細胞へと情報を伝えていきます。ちなみに神経細胞が痛みの情報を受け取る受容体を「オピオイド受容体」と呼びます。こうして、神経細胞を経て伝えられた情報は、脊髄を通って脳に達します。そして脳が痛みの信号を受け取り、私たちは「痛い」と感じるのです。

そしてこの痛みの伝達経路で、「オピオイド受容体」に作用する薬がモルヒネです。モルヒネは痛みの原因となる神経伝達物質よりも先回りして「オピオイド受容体」に結合します。この作用により、神経細胞は痛みの信号を受け取ることができなくなり、痛みを止めることができるのです。このようにモルヒネは「オピオイド受容体」に作用して痛みを改善することから、最近は、「医療用麻薬」より「オピオイド鎮痛薬」、または略して「オピオイド」と呼ばれることが多くなっています。

がんの痛みを消し、延命効果もあるモルヒネは自然界が人類に与えた最高の鎮痛薬 | がんとQuality Of Life | 「がん治療」新時代 – Part 2

モルヒネを投与された時の感想

はじめて投与された時の感想

お尻に筋肉注射という形で投与された直後から、今までの痛みがうそのようにスーっと引きました。衝撃的でした。

そして、(今までの睡眠不足もあったのでしょう)目の前が急にトローンとしてきて、頭もふわふわとなり、あえて例えるなら、まさに雲に乗って宙を浮いているような感じ。その後、気持ちよく眠った記憶があります。

モルヒネを投与する日々

今となっては記憶があいまいなのですが、手術日までの約2週間は昼間と寝るときの12時間間隔で投与されていたと思います。

この投与も私からの申告制になっていて、看護婦さんが「痛み止め(モルヒネとは言わない)、打ちますか?」「はい、お願いします。」のやり取りがあって、投与されていました。

当時の私は、モルヒネの存在は知っていたので、「ああ、この痛み止めがモルヒネなんだなあ」と認識していました。

ただ、何度も利用していると、同じ量では同様の効果は得られなくなるようです。投与量もなんとなく増えていった感じでした。

手術後もモルヒネに頼る自分が……

手術直後は患部の痛みではなく、開腹手術による別の痛みでしたが、痛みで夜寝れないという理由でモルヒネの投与を依頼する自分がいました。

なぜそうなっていたか。

実は、投与で痛みが引いて楽になるというのは事実なのですが、投与直後に得られる雲に乗って宙を浮かんでいるような感じが『快感』になっている自分がいたんです。

これを依存症と言うのかはわかりませんが、あるときそれを自覚した日に、「このままではヤバい」と、自分から錠剤タイプの痛み止めを申し出ました。

私が申し出なくても術後のモルヒネ投与はいずれ終了したと思いますが……

私がこの記事で伝えたかった事

当ブログで麻薬や覚せい剤の話をするつもりはありませんが、ただ一度使ったらやめられなくなる『快感』みたいなものを体験したことは、それはそれで貴重なのかなと思いました。そして、それに依存してしまう可能性を否定できないことも。

日常生活においてはほとんど当てはまらないシチュエーションですが、当ブログには若い読者さんもいることを知ったので、人生の先輩である私から伝えておくべきことのひとつかなと思い、あえて記事にしました。

薬に限らず、何かに依存するのもそこから脱却するのも、本人の意志次第。それを学んだ経験であったことは確かです。

取り留めなくまとめてしまいますが、この記事で、何かを感じ取ってくれれば幸いです。